Eastern Promises


デビッド・クローネンバーグ(デビクロ)の最新作、実質的にはヒストリー・オブ・バイオレンス以来2年振りの「イースタン・プロミス」を観てきました。

90年代はなかったことになっているらしいデビクロですが、前作の「ヒストリー・オブ・バイオレンス」とこの「イースタン・プロミス」。ヴィーゴ・モーテンセンと組んだこの2作で完全に「巨匠」になりましたね。
昔の「スキャナーズ」みたいなB級SFのグロ描写が今や人間の業をリアルに表現する為の人体破壊描写に繋がっていることは明らか。
やはり昔の「デッド・ゾーン」や「フライ」での、冷酷な運命に対峙する人間を冷静にでもシンパシーを持って描く、いかにもカナダ人らしい感性も健在。というかさらに深みを増しているし。

またヴィーゴ・モーテンセンという、一般的には指輪物語の馳夫(aka アラルゴン)役で有名だけど実はXのエクシーンの元夫、という派手ではないけど危ない人間を表現させれば当代一のパートナーを得たこともデビクロにとっては幸運でしたね。

さて、「イースタン・プロミス」はロンドンのロシアン・マフィアを巡る物語だけど、それに関しては特に社会的なメッセージがあるワケではない。
チェチェンに対するロシア政府の弾圧・・・とかいう話しは抜きに、やはりチェチェンマフィアは怖いぜという感覚的な怖さを訴えるための過激な人体破壊シーンとか、格闘シーンとか。これ、ダメな人はダメでしょうね。ボクもそういうシーンは生理的に受け付けないんだけど、人間の持つ暴力性や業の深さを表現する一手法でもあるので、これはもう目を瞑ってでもスクリーンを見つめていなければなりません。

ゴッドファーザーシリーズを思いおこすような神話性をも漂わせる人物たちとストーリー。余韻すら残さずに終わらせる潔さ。ストーリーテラーとしても映像作家としてもここ2作でクローネンバーグがより大きな存在となったことを感じさせるフィルムノワールでした。

ボクの好きなナオミ・ワッツがヒロインで出演。この人はデビューが遅かったせいもあり、流行のアラフォー的な佇まいや歳を感じさせる肌の感じとか、演技なのか地なのかわからないんですが好演してます。
またロシアンマフィアのドンのオカマのバカ息子がバンサン・カッセル。ボクの好きなモニカ・ベルッチの旦那なんですが、この人はリュック・ベッソンの「ジャンヌ・ダルク」であの青髭ことジル・ド・レイを演じていて、は虫類的な嫌ーな感じを出していた気持ち悪かったんだけど、この映画でも嫌ーな奴って感じが良くでていましたね。他の役をやっている映画を観なくちゃ。

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